財産権

概要

 財産権とは、経済的自由権のひとつとして保障されている権利で、財産に関する、様々権利の総称です。

 財産権には、「物権」「債権」「社員権」「無体財産権(知的財産権)」が含まれており、財産権に関する法律を、財産法と呼びます。

財産権の種類

  • 物権
    物を直接的に支配する権利のこと。「物」とは、有対物のことですが、例外となる無対物も存在します。
  • 債権
    ある人が、特定の相手型に対して、一定の行為(給付)をすることが要求できる権利のこと。債務者から見れば、債権者に対する義務が発生していることになり、これを「債務」と呼びます。
  • 社員権
    何らかの社団(会社)における、社員の地位のこと。所属する社団の種類に応じて、株式・持分・投資口・出資などと呼ばれます。社員権を保有する者が、法的な意味における「社員」に該当します。
  • 無体財産権(知的財産権)
    無形のもの、とくに、思索による成果・業績を認め、その表現や技術などの鉱石と権益を保障するために、与えられる財産権のこと。知的所有権とも呼ばれます。

 著作権は、知的財産権(知的所有権)に該当します。

 知的財産および知的財産権(知的所有権)は、各種の法令や条約において、さまざまに定義されています。


物権に関する法律

 物権の種類と内容は、法律によって定められ、それ以外の物権を新規に創設することはできないことになっています。

 これを物権法定主義といいます。(民法175条、民法施行法35条)

 物権法定主義における「法」というのは、さまざまです。主なものを、以下にあげます。

  • 鉱業法
  • 漁業法
  • 民法
  • 民法施行法
  • 商法
  • 借地借家法

 法律上で定められている物権として、以下があります。

占有権

 物を、事実上支配する状態(占有)そのものを、法律要件として生じる物権です。

所有権

 物を、自分のものとして支配する権利のことを指します。

制限物権

 用益物権として、地上権・永小作権・地役権・入会権・採石権・鉱業権・漁業権・温泉権・流水利用権があります。

 担保物権として、法定担保物権と約定担保物権があり、それぞれ、以下の権利を有します。

法定担保物権

留置権(民事留置権、商事留置権)、先取特権(一般先取特権、動産先取特権、不動産先取特権)

約定担保物権

質権(動産質、不動産質、権利質)、抵当権、企業担保権、譲渡担保


債権に関する法律

 債権の対象(目的)は、債務者の特定の行為です。

 債権は、大きく5つに分けることができます。

  1. 特定物債権
    物の個性を重視した、特定物の給付を内容とする債権。たとえば、土地の引き渡し債務や、中古品の引き渡し債務など。
  2. 種類債権
    目的物(不特定物)を、種類と数量だけで指示した債権。履行までに、目的物が具体的に定められ、以降は原則として、特定物債権と同じ扱いになる。
  3. 金銭債権
    金銭の支払いを目的とする債権。大部分の債権はこれに該当する。特殊な金銭債権として、金種債権というものがある。
  4. 利息債権
    元本債権に基づいて、借主からk指し主に対して、利息を給付することを目的とする債権。利息政権は、基本的利息債権と、視文的利息債権に分けられる。
  5. 選択債権
    数個の給付の中から、選択によって定める債権のこと。選択権は、原則として、債務者が保有する。再建が弁済期にある場合、相手から相当の期間を定めて催告しても、選択権を有する当事者が、その期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手に移転する。

社員権に関する法律

 おもに民法により、財産権の一部として権利が認められています。

 その他にも、たとえば、新株予約権や新優先出資予約権など、株式や社債については、コール・オプションと呼ばれ、会社法により、権利が補償されています。


知的財産権に関する法律

 知的財産や知的財産権(知的所有権)は、各種条約や法令において、様々定義がなされています。

 日本においては、知的財産基本法という法律があります。

 知財四権と称される知的財産権は、以下の4つです。

  • 特許権(特許法)
  • 実用新案権(実用新案法)
  • 意匠権(意匠法)
  • 商標権(商標法)

 この他にも、著作権(著作権法)、著作隣接権(著作権法)、肖像権(憲法)などがあります。


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